おもむろに、奈津美は体を起こした。
洗濯でもしてようか。きっとその方が気が紛れる。
ベッドから出ると、やはり体は重い感じかする。
しかし、昨日の旬ほどではないと思う。
熱こそ少し高めだが、鼻づまりだとか、喉の痛みだとかはそれほど酷くはない。
今までだって、多少体調が悪くても、家のことは一人で全部やってきたのだし、問題はない。
奈津美はその辺りに散らかっている旬の服を拾い、洗濯機に持って行った。
昨日、大量に洗濯をしたので、今日は一回で済みそうだ。
洗濯機の中に洗濯物と洗剤を入れて、ボタンを操作する。
洗濯機が動くと同時に玄関が開く音がした。
もう旬が帰ってきたのか。まあ、レトルトのおかゆや昼に食べるものだけだったら、近くのコンビニですぐに買い終わるか。
「ナーツーぅ。ただいまー」
旬は奈津美がベッドにいるつもりで、部屋の奥に向かって声をかけている。
今、奈津美がいる脱衣所の前を通り過ぎようとした。
「おかえり」
奈津美が声をかけると、旬はピタッと立ち止まり、そっちに向く。
「ナツ? どしたの? トイレ?」
「ううん。洗濯してたの」
それを聞くと旬は血相を変えた。
「何やってんのナツ!」
「え……きゃっ!?」
奈津美はあっと言う間に旬に抱え上げられ、ベッドまで運ばれた。
「ダメじゃん! 大人しくしてないと!」
布団を上まで上げながら、旬は怒っている。
奈津美はびっくりしすぎて、何もいえない。
「もー。俺が居ない間に何かあったらどうするんだよ」
「そんな大袈裟な……」
そういえば昨日も同じようなことを言っていたような……
立場が全くの逆に変わっても同じことをいうとは……旬らしいと言うべき何なのか。
「大袈裟じゃないよ! 熱上がってたらどうするの! ほら、熱計って!」
旬は奈津美に体温計を差し出した。


