ある休日。今日は旬と買い物デート。



「ナツ、今日は何買うの?」


「パンプスが欲しいの。今持ってるの、傷ついてきてるから」


「そっかー」


 そんな風に話しながら、二人は手を繋いでショッピングモールを歩く。


 このあたりには、男物も女物も関係なく、服や靴や小物や雑貨など、様々な店舗が入っている。

 その前を通り過ぎながら二人は歩く。奈津美が行く予定の店はまだ先だ。



「あ!」

 旬が声をあげて奈津美の手を引いた。


「ナツ、見て。これ、ナツにすっげー似合いそう!」

 旬が指を差し、笑顔で言った。


 目の前には、あるショップのディスプレイがある。中には服を着せたマネキンが三体あり、旬が指差しているのは、その中の中央にあるものだった。


「可愛い……」

 奈津美はそれを見て素直に感想を言った。


 そのマネキンが着ているのはワンピースだった。

 黒地に、フレアになっているスカート部分は白の上品なバラ柄で、裾や胸元には白の糸で凝った刺繍が入っている。


 正直なところ、かなり奈津美好みだ。この店には入ったことはないが、他のマネキンを見てみると、ここは奈津美好みの系統の服がある店のようだ。