「大丈夫……旬が気にすることないから」
奈津美は体を起こしながら言った。
やっぱり体は重い。
「どしたの、ナツ?」
「帰るの。帰って寝てたら治るから」
「えっ! うちでこのまま寝てたらいいじゃん」
「……ううん。また旬にうつったらダメだから」
「大丈夫だよ! 俺の風邪なら多分免疫あるだろうし。ナツはとにかく大人しくしてないと」
旬はそう言って奈津美の肩を押し、ベッドに倒した。
「今日は、昨日ナツが看病してくれた分、俺がナツを看病するから」
「えっ!」
奈津美は目を丸くした。
「だーい丈夫! 俺に任しとけって!」
旬は自信満々だが、奈津美は不安でいっぱいだった。
「んで、ナツ。何したらいい?」
いきなりこれである。
普通。病人にすべきことや、病人がして欲しいことを察してするのが看病じゃないだろうか。
任せろといったそばから、何をしていいのか分からないのか。
「あっ……別に何していいか分かんねえわけじゃねぇよ? 俺が勝手にやったらダメかなーって思って。そんな不安そうな目で見なくても大丈夫だって」
奈津美の視線から伝わったのか、旬は慌てた様子で言う。
本当がどうかは定かではないが、確かに、旬に任せるのも怖いので、一応指示することにしておく。
「とりあえず、薬飲みたいから……先に何か食べないと」
「あ、そっか。朝飯……ていうかもう昼飯か。俺も腹減ったしなあ」
現在、十一時三十分である。
旬がなかなか起きなかったせいで、もうこんな時間になってしまった。
すると、旬の方から、グーッという音が響いた。
「あ」
旬は腹を押さえている。
「……あたし、何か作るから」
奈津美は再び体を起こそうとする。
「だっ、ダメダメダメ! 俺は大丈夫だから! ナツは気にしないで寝てて!」
かなり必死な様子で旬は奈津美を止めた。


