もお~……


 奈津美は旬の体の下の布団を引っ張った。

 しかし、旬の腕が体に巻きついている状態で力が入れづらく、更に旬の体は重いので、うまく引っ張れない。


「……ねえ、旬」

 仕方なく、旬を起こそうと肩を揺さぶったが、旬は起きない。


「ねえってば、旬。寒いの。ちょっと起きて」

 更に力をこめて旬を揺さぶるが、旬は全く起きる気配がない。


 もー!

 少しイライラしながら奈津美は旬の腕をペシンと叩いた。

 それでも起きない。爆睡だ。


 奈津美が無理矢理動くと、旬の腕が緩んで、ベッドの端まで動けた。


 すると、ベッドの下に、奈津美と旬の服が散らばっているのが見えた。


 それに手を伸ばし、掴めるものを掴んだ。旬のスウェットのズボンだ。


 ないよりはいいが、下よりは上が欲しい。


 奈津美は再び手を伸ばして、上に掛けられるものを探した。


「う~ん」

 突然、旬の腕に力が入り、奈津美の体が抱き寄せられた。


 あっ……と思った間に、奈津美の体はベッドの真ん中まできていた。

 おかげで、服に手が届かなくなってしまった。


「ん~。グヘヘ~」

 頭の後ろで奇妙な笑い声が聞こえた。


「……旬?」

 起きたのだろうか。

 それならいいのだが……


「クカ~……」

 すぐに寝息が聞こえた。


 どうやら、寝ながらした行動らしい。


 ちょっと、寒いんだってばー!


 必死に動こうとするも、今度はがっちりと抱き締められて、全く動けない。


 旬のバカー!