そして、彼が来る約束の日。
えーっと。部屋の掃除も出来てるし。料理は温めたらできるようにしてあるし……
カーペットに掃除のコロコロをかけながらやることを確認する。
今日、彼は仕事帰りにあたしの部屋に寄ってくれるということになっている。
だからあたしは、仕事が終わったらすぐに部屋に帰ってきて、彼を迎える準備をした。
細かい掃除は昨日のうちに済ませているけど、シュンがいるから、掃除機とコロコロはかけておかないといけない。
彼は実家で犬を飼っていたことがあったらしく、もともと犬好きだから気にしないかもしれないけど……やっぱりキレイにしておきたい。
そろそろ来るかな……
コロコロを片付けながら時計を見る。
「クーン」
シュンが小さく鳴きながらあたしの足元にやってきた。
そして、そこにお座りをして、じっとあたしのことを見つめる。
「ん? どうしたの?」
シュンに聞くと、シュンはぺたんと尻尾を振った。
そういえば、なんか忘れてるような……
シュンの顔を見て、あたしはそんな気がした。
「……あ!」
そうだ! あたし、シュンにご飯あげてない!
「ごめんね、シュン! 今ご飯用意するね」
うっかりしてた。
いつもはあたしが帰ってきてからすぐにご飯をあげる。
でも今日は、帰ってきてからすぐに準備をしていたので、すっかり忘れてしまっていた。
あたしが慌てて台所に向うと、シュンは嬉しそうに尻尾を振ってついてきた。
いつもの場所にシュンのお皿を置くと、シュンはその前にきちんとお座りをする。
ちょうどシュンのご飯は今朝なくなっていて、新しい箱をを開けないといけなかった。
「いーい? シュン」
箱を開けながら、あたしはシュンの目の前にしゃがみ、今日のことを伝えておく。
「今日は、彼がくるの。だから、いつもどおり、いい子にしててね」
「クーン」
分かったのか分かってないのか、シュンは小さく鳴いただけだった。


