「ワン!」
そこでやっとシュンはあたしに気付いたように吠えて私の前に来て、お座りをする。
シュンも勿論びしょぬれで、いつもはもう少しふんわりとした毛がペッタリと体のラインを浮き上がらせていた。
同じようにびしょぬれの尻尾が、床の上で左右に振られていたけど、それは濡れる範囲を広げているだけだった。
「うっそぉ……」
あたしは絶望に近い気持ちで床にへたりこんだ。
ベランダの鍵を閉め忘れてしまったのだろうか。
そしてシュンは、雨が降ってきたから、窓を器用に開けて洗濯物を取り込んだつもりなのだろうか。
いつも、雨が降った時にあたしがやるように……
あまりのショックに、あたしはシュンを叱ることができなかった。
いや、ショックだったからというよりも自信満々に、褒めてほしそうにそこにお座りしているシュンを見たら、叱るなんて、できなかった。
本当はダメだって分かってるんだけど……
あたしはため息をついた。
「シュン。お風呂入ろっか」
あたしが言うと、旬は嬉しそうに
「ワン!」
と吠えた。


