結局、少し迷ったけど、コンビニで傘を買って、あたしはコーポまで走った。
あり得ない。すぐ帰るつもりだったからそのままにしてきたのに、何でこのタイミングで降るのよ。
必死に走って、コーポの近くまでくると、雨脚がだんだん弱まってきた。
もー! なんであとちょっとのところで弱まるのよ!
コーポのエントランスに入って傘を畳むと、どしゃ降りの中を走って帰ってきたせいで、全身びしょぬれだった。
これじゃあ傘を買った意味なんてなかった。
やっぱり買わなきゃよかった。
このぶんだと、洗濯物も手遅れだろう。
あたしは半分諦めながらトボトボと階段を上っていった。
でも、一応ベランダには屋根というか、上の階のベランダがあるから、全部が全部びしょぬれではないはずだ。
外側に干していたものは諦めるとしても、部屋側に干してあるものはまだマシなはず。
少しだけ前向きに考えながら、部屋までたどり着くと鍵を開けてドアを開ける。
「ワン! ワン!」
部屋を開けた途端、シュンの吠える声がした。
あれ? どうかしたのかな。いつもは出迎えてくれるのに。
声はするものの一向に現れる様子のないシュンに、私は疑問を抱いた。
あたしは傘を置いて、部屋に上がった。
全身びしょぬれだから、つま先だけで部屋へと向う。
「なっ……」
部屋の中を見た瞬間、あたしは言葉を失った。
部屋は、なぜか床がびしょびしょになっていて、その床の上に、干していたはずの洗濯物が、これもまたびしょ濡れの状態で、くちゃくちゃになっていた。
そして更に見ると、ベランダへ出る窓は全開で、ベランダではシュンが物干し竿にかかっているバスタオルをくわえて引っ張っている。
竿から外れたタオルはベランダに落ち(勿論そこも水浸し)それをズルズルと引きずったままシュンは部屋の中へ運んでくる。
そしてそのタオルは、他の洗濯物達と同じように床へ置かれた。


