コンコン

『はいどーぞー』

中からあいつのかったるそうな声が聞こえてきた

私はどうしたらいいのか分からないまんま
ドアを開け中に入ったところで立ち止まった

『おーい。なんでそんなとこいんだよ。こっち来いよ!』

あいつは私の手を掴んで引っ張った

そう言えばわたし達はお互いの名前を知らない。
聞くべきなのか?そう思っていると

『俺。田中そうま。よろしくな?』

『あ。うん。私は浜野ゆりあ。よろしく』

私は緊張しながらそう言った。うまく言えていたかな?

『つーか、この前はごめんな?俺隣の病室だったから。間違えちまって。本当ごめん!!』

なんなんだよ。こいつは
いきなり素直になりやがって
調子狂っちゃうじゃないか...

『つーかさ、お前なんで入院してんの?』
とっさにそう聞かれ私は答えることが出来なかった

まさかこいつは思ってもいないだろう

私が病気で、あと2年ほどしか生きられない...ってことを

『あー、盲腸かな?』

私は適当に流しておいた

『ふーん。俺は熱中症。笑 サッカーの試合中に倒れちまったみたいでよ。気づいたらここにいたって訳よ』

『そっか。じゃあもうすぐ退院なんだな。』

え。何言ってんだ。私

まるでこいつが退院するのが嫌みたいじゃないか

『おう!もしかして、寂しいか?笑』

『んな訳あるか。馬鹿野郎』

『ふーん。なーんだ。お前のさっきの顔寂しそうに見えたからさ。なんなら退院しても見舞い来てやるよ』

『あっそ。それはどーも。じゃあまた今度』

私はここにいるとおかしくなっちゃいそうで病室から飛び出した

その時...
『急にどした?まぁいいや。明日も来いよ。』
あいつの声が聞こえてきた