うっわ…、どうしよ


大好きな数学の教科書を忘れてしまった


しかも数学の先生怖いんだよなあ…


友達にかりる?


いや、他のクラスは今日数学ないんだ


思わずため息をついた






「どうしたんだよ、元気ねえな」


そう声をかけてきたのは今朝の彼だ


あのウザさMAXの男の娘


「数学の教科書忘れた。私もう死んだわ。」


こりゃ藤宮に馬鹿にされるパターンだな


もう休憩時間もあと2分にまで迫っていた


「アホかよ。ほら、ん。」


藤宮が片手で突き出してきたのは数学の教科書


「え、藤宮…?」


「馬鹿。これ使えってことだ。」


「待て、そんなことしたらお前が怒られ…」


私が言い終わる前にチャイムは鳴った


席に戻っていく藤宮を眺めていた


そして彼は教科書を忘れたと先生に伝えた


さすが藤宮と言ったところか


先生は怒ることもせず笑ってすませた





なんだかんだで藤宮は優しい


国語の時間の時も、今も


きっと誰にでも優しいんだなと思うと








何故か私の胸はきゅっと締め付けられるのだった