たまに来る、俺の友達に警戒しながらも
にゃー、と鳴けばみんなに、
「かわいー」と褒められ、ちやほやされる。

気遣いとか使わないで、その辺で寝てても
「かわいー」と言われて、無愛想って言われない。

勉強しなくても、ちょっと大人しくしてれば
大人しくて偉いね、なんて言われて

だから、俺は猫になりたいと、毎日のように思ってた。

ある日、夜8時30分
父さんが帰ってきた。

それで、ソファーに座ってアネモネを撫でながらテレビを見てた。

そしたら、父さんは俺を見るなり
勉強しなさい、と怒鳴ってきた。

俺だって、ちゃんとしてる!がんばってる!考えてるんだ!

と思って、ついカッとなって反抗して、自分の部屋に駆け込んだ。

それで、机の椅子に座って、さっき言われたことを思い出す。

そのとたん、悔しくて泣きたくもないのに、泣いてしまった。

追いかけてきたのかは、アネモネが後ろに来たが、今はかまってられる気がないから
気づかない振りをした。

そして、いつの間にかそこには、いなくなっていた。