俺が一族としてしてきたことが、全て正しかったとは思っていない。

ぬるま湯につかりすぎて、前が見えなくなったか…?筆頭は俺を追放した。

一族の者として最後に筆頭と話したあの日、筆頭は何かを言いかけ止めた。

「言いかけて止めるのは卑怯だ」と俺は言ったが、筆頭は何も言わなかった。

未だにそれだけが気になっている。

何を言おうとしたのか…?

筆頭がやって来た頃、俺はある術者の妖かし退治を手伝っていた。

ヒトの夢を喰う悪霊、ヒトを喰う鬼…、そんな奴らが俺の相手だった。

倒しても倒してもそいつらはいっこうに減ることはなく、益々その力を増してしった。

術者のもとで修行をしていた若い男がつぶやくように言った。

「邪鬼の面…、助けを借りることができればあるいは…。だが、面を付けた者の末路は…」

俺は一度自分のの居場所を失った者。

同じ哀しみを味わう人間をこれ以上増やすわけにはいかない。

「面の力を借りた者はどうなるんだ?もし、面を付けた俺が異形の物と化したら…、俺を封じてくれ!」

それを聞いた術者は黙ったまま頷いた。