新幹線に乗って一時間。
さらにバスに乗り換えて一時間ほど走ると、歴史深い酒蔵などが並んだ小さな町が車窓から見えてきた。



海沿いの道沿いにはリゾートホテルやヨットハーバーが建ち並び、地中海の港町を彷彿させられる風景が広がっている。
窓を開けなくても、潮の香りに鼻先をくすぐられるような気分。



海辺の町にイメージを膨らませているうちに、小さな港に到着した。



バスを降りて、まず目に飛び込んできたのは目映い光。波の穏やかな海原が、陽射しを浴びてきらきらと輝きを放っている。



煌びやかな海の向こうには、緑豊かな島の確かな存在感。



私の周りでは、新入社員たちが不安そうな顔で話している。
あの島を見ながら、どこへ連れて行かれるのだろうと。



まだ新しいスーツが体に馴染んでいなくて、着せられてる感が強い。真新しいランドセルを背負った小学一年生に似てる。



毎年恒例の新人研修。
新入社員には、研修施設の場所は知らされていない。



知っているのは、一週間の泊りこみの研修だということだけ。研修のスケジュールは到着するまで秘密。