「あんた、なんで村岡先生の車で送ってもらってんの?あんたのお兄さんの友達だからって、それおかしいんじゃないの?」
 また、攻められてます。
 でも、佑斗おにいちゃんの事が好きなんだもん。
 告んないあなたたちが悪いんじゃないの?
「そんなこと言われても…。村岡先生が、善意で送ってくれてるんだし…」
「言い訳しないで…!」
 また、叩かれちゃう…
 そう思った。
 でも、そうじゃなかった。
 いつも感じていた痛みが、お腹に来た。
 初めてだった。
 助けてって思ったけど、誰もいないし、いたとしても見てみない振りをする。
 どのぐらいたったのだろう…
 意識が遠のいてきた。
 死んじゃうのかな…

「ねぇ、この子おかしいよ…目が若干死んでる感じだよ。これ以上やったら、うちらが村岡先生に目を付けられちゃうよ…」
 その子のおかげで、暴行は治まった。
 でも、体全体はだるく、動けそうになかった…
「あー、いつまで続くんだろう。佑斗おにいちゃんから、離れないとだめなのかな?やだなぁー。10年間以上好きだったんだもん…。みんな、ばっかじゃないの?佑斗おにいちゃんなんて、かっこよくて、八重歯が可愛くて、茶髪でパーマも可愛いくて、って事しか見てないでしょー。佑斗おにいちゃんのこと、ちゃんと知らないのにでしゃばらないでよー」
 独り言を言っていたら、夕方になってた。
 そろそろ帰らないと…
 ママに心配されちゃうよー
 帰ろうとしてると、しずくが落ちてきた。
 雨だと思ったけど、違った。
 涙が、次々にあふれてきてたんだ。
 それは、止むことのない雨のようだった。