ーキーンコーンカーンー

よしっ、昼休みだぁ!
ガラガラガラ
「しおちゃんっ…!」
「うん、ま、任せて」

ガタッ
ドクンドクン

私は数メートル先の葛西君に声をかけようとした。
ーその時
「おーい葛西、学食いこーぜ」
「おっけー今すぐいくわぁ」
廊下にいたクラスメイトに声をかけられて教室からいなくなっちゃった。
正直、私はナイスタイミングだと思った。
だって、朝嫌味なこと言っちゃったし。
「あーあ。ごめんね早希ちゃん、
葛西君行っちゃった〜あはは」
なんて明るい感じでゆったけど、本当はごめんねって思ってる。
「…あーいいよっ!気にしないで
じゃあ、昼ごはん食べに行こっか」
あ、そうだった忘れてた!まだ、食べてなかったや
それにしても、早希ちゃん悲しそうだった。ちょっとでもナイスタイミングなんて思った自分、サイテーだ。
「…しおちゃん?」
「えっ!?あ、大丈夫!いつもの屋上行こっかぁ!」
ー屋上。落ち着くんだよなぁー。
いつも昼ごはん食べるときは、早希ちゃんと必ず屋上に来ていろいろ語りながら食べるんだ。
今日はもちろん葛西君の話になりそうだけど。
「わー、今日のしおちゃんのお弁当いつもとちがう!いつものも美味しそうだけど、今日のも断然だね!」
あー、そういえば、今日のお弁当は葛西君が作ってくれたんだっけ。
なんてゆおう…
「あ、えっとねー、自分で作ってみたんだ!すごいでしょ〜笑」
「えっ、しおちゃんすごいね!料理するの上手かったっけ?今度教えてよ〜♪」
「う、うん!」
よかったぁ、なんとか誤魔化せたみたい。あれ?そうおもったら、葛西が朝早かったのって髪の毛のセットのためじゃなくてー…なんてね?私なんかのためにわざわざ早起きするわけないよね。
でも、朝テーブルに置いてあったお弁当箱は私のだけだった。学食行こうとしてたし、、、
「あ、そういえばー…」
え、なに?私なにかボロはいてたかな!?
「今までお母さんが作ってたのに、急にしおちゃんが作るなんて、、、まさか、好きな人でもできたかぁ〜?」
ぶっ!なんでそうなるの!笑
「ちっ、ちがうよ!お母さんはお父さんの単身赴任付いてってて。だから自分で作ったの」
どやぁ、ナイスカモフラージュ…?笑
「ええーー!そんなの、今、家に1人ってことだよね?ダメダメ、しおちゃん1人で生活なんていけるわけないじゃん。
私行ける日はお泊まりしてしおちゃんの世話するから。困ったことあったら言って?ね?」
さ、さ…「早希ちゃんーー泣泣」なんて、あなたはいいこなんだぁ!
葛西君なんかにはもったいなすぎるよ!
「も〜泣かなくても…よしよし♪」
頭なでなでしてもらって泣き止んだ私は、お弁当も食べ終わったことだし、教室に戻った。
「ふぅ〜」
やっと終礼がきたよぉ〜。
もう、高校生の1日長すぎる。
「なーに変なツラしてんだ?」
「しーてーまーせーん!」
隣の席の、雄一郎。雄一郎はゆういつ、私が心を開いている男子だ。
「お前さ、昨日寝た?」
「なんで」
「だって、お前クマできてる」
手持ち鏡でチェック。うわー、ひどい顔
朝いろいろあって全然気づかなかったし
「誰かさんのせいで早く起きてー…」
あっ、いけない
私が男と暮らしてる、ましてや葛西君とだなんて、雄一郎は許さないだろう。
別に、変な意味とかじゃなくて、いつも私のことを心配してくれる。男友達。ってやつ?笑
「誰かさんって?」
「あー、あの、目覚まし!時計がずーっとピコピコゆっててうるさくてさー」
「ぷっ、お前目覚ましのこと人みたいに扱ってんのな。しかもピコピコって…
あーほんとしおは飽きないよな笑」
飽きないって…私はものじゃない!
私をしおって呼ぶのは、雄一郎くらい。
私は雄一郎が大好き!
もちろん、友達って意味でだけど。
「あ、そういえばさー…」
ん??
今なんて?
「だから、今日の朝おまえの家の前に誰かいたんだよ、同じ高校の制服のやつが。後ろ姿だから誰だかはわかんなかったんだけど、背は高めでー髪は茶髪でー…」
あぁ、あいつだ。葛西君。
私は心のなかでは葛西君のことをあいつと呼んでいる。
あいつ、と呼ぶのに葛西君とも呼んでて、矛盾だけどね笑
ま、お弁当作ってくれたから前よりは印象は上がったー?いや、もっともっと…
って、なんか好きみたいじゃん!
早希ちゃんの好きな人だよ?ないない!
って首を横に降ってたら
また、雄一郎が笑った。
あぁ、この笑顔すきだな。
ーと、思ってた。友達としてね?笑