好きナノニ。

「あ、そうだ。学校では知らないフリしてね?私、葛西君と一緒に住んでるなんてばれたら、高校生活終わっちゃうから!」
「どうして?」
「どうしてってー、あんたもてるでしょ?葛西君のファンにこんなことばれたら、学校行けないよ」
「ふーん、まぁそうだな
わかったよ、二人の約束、な?」
「う、うん」
あんたと約束事なんてたまったもんじゃないけどね。
「それにしても、葛西君起きんの早いね?」
「あー、俺、髪の毛のセットに時間かかるからさ」
そう言って私に向けた無邪気な笑顔。
不意打ちかのようにそんなの向けてくるから、キュンとしちゃったじゃん!
「あ、そういえばもうしおちゃんちのおばさんとおじさんもう出たみたいだったよ?」
「えっ!?」
娘の私に一言もかけず?
あのばか夫婦…
ワナワナと怒りが湧き上がってくる私に葛西君は続けて言った
「でね、うちの栞をよろしくってさ」
ニヤッ
え、今絶対ニヤッてしたよね?
なにかんがえてんだろこいつ。てか、
「さっきなんてゆった?」
「えっ、あーおばさん達でてったってー…「その前。」
あ、しおちゃん?」
「……」
かぁぁぁぁ
絶対私の顔赤いよね?今
上向けない向けない。
「なっ、なんでしおちゃんなわけ?
この呼び方するの、早希ちゃんくらいだよ?」
「あー、それならいつも井上が呼んでたの聞いてさ、」
ん?なんか顔赤くないですか?
え、もしかして葛西も早希ちゃんのこと好きなわけ?…なんだぁ!よかった。
二人ともおめでとう!両思いだよ!
パチパチ
って私が拍手してたら
「はははっ!」
「な、なによ!?」
「いや、やっぱ葛西おもしれーなって思ってさ」
「あーはいはい、どーせ私は早希ちゃんとちがってブスでバカですよーだ。ふんっ」
私は荷物を持って家を出た
学校に着くと早希ちゃんが私のクラスで待ってた
あ、今気付いたけど、早希ちゃんがよくこのクラスに来てるのも葛西君がいるから…?なんだ、わたしに会いにきてくれてると思ってたのにぃー。
「ねぇ!しおちゃん!」
「は、はぃぃ?」
やばっ、聞いてなかった
「だから、葛西君のことだよっ!
今日、しおちゃん葛西君に喋りかけてくれない?私その後ろにいるからさ、三人で喋る形でいいから葛西君としゃべってみたいんだ!」
あ、そうかぁ。早希ちゃんもまだ葛西君と喋ったことなかったんだね。