名前のなき想い


麻恋はいつもの様に私を家まで送ってくれた。

「姫優!頑張ってね。」

私は麻恋に笑顔を向け、家に入る。

「ただいまー。」

私はお母さんにそう言うと、

急いで自分の部屋へ行き着替え、リビングに向かう。

お母さんはいつものように
夕飯の支度をしていた…

そんなお母さんの背中を見つめながら私はお母さんに話しかける。

「お母さん、ちょっと話しがあるんだけど…」


「あら?なぁに?」

お母さんはそう言うと、手を止め椅子に腰を掛ける。

私も椅子に腰をかける。

いざ、話そうとするとどう話していいか解らずしばらくの沈黙…

このまま黙っていても仕方がない!!!

私は意を決して話しはじめる。

「お母さん、私今日病院に行ってきたの…」

私はポケットから、写真を取りだしお母さんの前に差し出す。

私はお母さんの反応が恐くて…
何を言われるかが恐くて…

お母さんの顔を見れず俯いていると…

「なんとなく気づいていたわ…
姫優ったら、最近体調よくないみたいだったし…
食べ物の匂いに敏感だったしね…
もしかしたらそうなんじゃないかって…」

私はお母さんのその言葉に顔をあげお母さんを見つめる…

するとお母さんは少し微笑みまた話しはじめる。

「姫優?お母さんは反対も賛成もしない。
だってそれはあなたが決めることなんだから…
姫優?お母さんは今まで一人で姫優を育ててきたわ。
それは凄く大変だったし、辛い時だってあったの…
でも、私は一度だってあなたを生んだことを後悔していないわ…
だから、姫優も後悔しない道を選びなさい。」

お母さんはそれだけ言うと
黙って私を見つめていた…
きっと私の答えを待っているのだろう。