名前のなき想い



ピーッーピッピッピーッー

試合を終えるホイッスルが鳴る。

龍星が最後のPK を決め私たちの高校は見事優勝。

「龍星おめでとう!!!」

「おめでとう!!!」

私達が龍星に駆け寄ると龍星の目には涙が浮かんでいた。

「ありがとう。来てくれてたんだね。」

「龍星、私達龍星のためにお弁当作ってきたんだよ?」

「まじ?ありがとう。
僕ちょっと荷物取りに行ってくるから待ってて。」

龍星が荷物を取りに後輩たちの元に戻っていく。

龍星は、後輩たちとともに
喜びを分かち合っていた…

そこには私の知らない龍星がいた…

始めてみる、龍星の最高の笑顔…

ドキッ……

私は慌てて目線を反らす…

今のは何?

この気持ちは何?

「きーゆー!!!」

「あっ!!!ごめん!!!」

私は麻恋に呼ばれ、我にかえる。

「どこで食べようか?」

龍星が戻って来て3人でお弁当を食べようと場所を探していると…

「龍星。」

聞き覚えのある声が龍星を呼ぶ。

「海翔先輩…来てくれたんですか。」 

「おう。優勝おめでとう。」 

「ありがとうございます。」 

龍星を呼び止めたのは、海翔だった。 

海翔は私と麻恋の方に視線を移し

「姫優、久しぶり。元気だった?」

私に声をかける。

私が何も答えず黙っていると

「先輩、僕達今からご飯食べるんで。
また今度。」 

龍星は私の手を引いて歩きだす。