名前のなき想い



それはお母さんが持ってきたタオルだった。

「どうしたの?
傘持って行かなかったの?
もうー先にお風呂入りなさい。
今沸かすから。
その前に着替え持ってらっしゃい。」

お母さんはそれだけ言うと
お風呂にお湯をために行ってくれた。

私は濡れた制服のまま
着替えをとりに部屋に向かう。

着替えを用意しその場にしゃがみこ、しばらくぼーっとしていると

「姫優ー
お風呂沸いたわよ。」

下からお母さんに大きな声で呼ばれお風呂に入る。

湯船に浸かりながら、またぼーっとしているとお湯の暖かさと今日の事を思い出し涙が溢れてくる。

彼が楽しそうにしているのは
久しぶりに見た気がするなぁ…

ってか彼を見たのが久しぶりなんだよね…

せっかく久しぶり会えたのに
あんな形で彼と会うなんて…

こんなことになるなら
もっと早く別れを切り出すべきだったなぁ…

その方が彼とも友達のままでいられたのにね…

なんて今になって後悔しても遅いよね…