名前のなき想い



ふと気づいた時には家の前にいて、
どうやってここまで帰ってきたのかなんてわからなかった…

だけどとりあえずドアに手をかけ、
ずぶ濡れのまま私は家に入る。

「ただいま…」

私は小さく呟き、靴を脱いでいると…

私が帰ってきた事に気づいたお母さんが いつもの様にリビングから顔を出す。

「おかえり。」

お母さんは私を見て驚きどこかに行ってしまった…

私が2階に上がろうと階段に足を進めようとした時…

ふぁーと柔軟剤の匂いが私を包む。

その匂いとお母さんの優しさに私は視界が歪むのを感じ、それをぎゅっと握りしめる。