その日の帰り道、

私は空を見つめながら龍星に尋ねる。

「龍星って人を好きになったことある?」

「なに?
いきなり。」

龍星は少し驚いているようだったけど私は気にせず話を続ける。

「人を好きになるのって辛い事もあるんだね…」

私は空を見るのをやめ地面に視線を移す。

しばらくの沈黙…

それを破ったのは龍星だった。

「そんなことないよ。
辛いこともあるけど、その分良いことだってある。」

龍星の言葉に私は歩みを止め龍星の背中を見つめる。

だって龍星の口からそんな言葉が出ると思わなかったから…

私は思わず笑ってしまった。

そんな私を見て少し怒った様子で龍星が私の元に駆け寄ってくる。

「妙に説得力あるね。」

「なんだよ。
その言い方。
真剣に応えてやったのに。」

私のおでこにでこぴんをする龍星。

「いたぁーい。
龍星のばぁーか!!!」

でこぴんをされたとこを押さえ呟く。