「あ…えと、片岡さん、何か用ですか?」

顔をぱたぱたと手で仰ぎながら平静を装う。
風がタイミング良く吹いた。気持ちいい。


「あ?暇だから連絡したんだ。てかお前、なんでそんなとこいるんだよ?」

「えと、片岡さんに電話してみようかなぁって思って…」


そっか。片岡さん、暇だから私に電話してくれたんだ。
うれしい…

「って、え?待ってください。片岡さん、私のいる場所、分かるんですか?」

そんなとこ、って言ったよね?

見られているのかときょろきょろと辺りを見回す。
学校の周りにあるのは、大きなビルが何件か、スーパー、コンビニ、会社…

「会社の窓からお前が屋上にいるのが見えたから電話したんだ。まさか同じこと考えるなんてな?」