【風姫 side】
「それにしても風姫が恋か~。それも先輩に!」
若美、声が大きいよー…
「え、あ、うん。」
「あ、そーだ!桐谷先輩たち試合終わってたよ!あそこで休憩してるから、見に行こ!!」
若美テンション高すぎ…先輩、若美ことみたら惚れちゃうかも!?不安だなー。
「ほら!早く早く~。ほら!唯南もきて!」
「あ、はーい!」
あれ?なんか唯南もテンション高くない?わたし、2人みたいに可愛くないのに…
「風姫?行かないの?桐谷先輩に近づくチャンスよ?」
そーだけどー…
「もちろん!行くよっ」
いやいや。ネガティブは禁物!わたしだって頑張れば・・・

あ!いる!あ、でも、まわりに女の子たちがたくさん。
「あちゃー。さすが、学校1のイケメン。そりゃーファンくらいいるよねー」
若美の言う通り。だから先輩に近づいたってわたしみたいな可愛くない子、気にもとめてくれないよね…
「風姫。」
「なに?唯南」
わたしの顔をじっと見つめている唯南。
「風姫、今、わたしみたいな可愛くない子を先輩が好きになってくれるはずがないって思ってるでしょ。」
げっ!?
「なんで分かったの!?」
「顔にかいてある」
嘘!?顔にでてた!?
「うんうん。」
若美まで~…
「あれ?桐谷先輩、風姫のこと見てるよ」
「え?」
「ほら!」
おそるおそる先輩の方を見てみる。え!?ホントだ。目があっちゃった。自分の体温があがっていくのがわかった。
「赤くなっちゃって可愛い~」
唯南が冷やかしてくる。
「か、可愛くない!」
わたしがあたふたしてると、先輩のまわりの女の子たちの声が聞こえてきた。
「宏哉君?誰を見てるの~?わたしを見てよー」
先輩は女の子のことを無視して、わたしのことをじっと見ている。
「宏哉君ってばー!」
ガン無視。なんかあの子かわいそう…
「風姫。桐谷先輩あんたのこと気になってるんじゃない?」
にやにやしながら言ってくる。
「そ、そんなわけないよ」
「え!?風姫!先輩こっちにくるよ!?」
唯南ったらまたまた冗談をー。
「って、えー!?」
ほんとにこっちに歩いてくる。
「あのさー」
は、ははははは、話しかけてきたぁぁぁぁ~!?
「は、はい。何でしょうか」
口がうまくまわらないー!若美と唯南はにやにやしながらこっちみてるし、先輩のファンからは冷たい視線が…
「これ、俺のメアド。登録しといて。じゃ。」
えぇぇ~!?メ、メアドぉぉぉ!?
そのまま去っていった先輩は女の子に即かこまれて、
「宏哉君なんで~?私たちのメアドは受け取ってくれないのに、どうしてあの子にはメアド教えるの~?」
「お前に関係ない。」
そういい残して先輩は友達らしき人のところへ走っていった。