「ここ試験にだすかもだからなー。
各々きっちり復習しとくように。」
先生が言い終わるとほぼ同時に
チャイムが鳴って
あっという間に終学活だ。
「なんか今日時間経つの早かったな!」
楸也がニコニコしながら言う。
「そうだな」
俺は素っ気なく返した。
「今日掃除あるんだ。先帰っていいぞ」
「えー。果歩達と待っとるよ」
「ゴミ捨て当番もあんだぞ?」
「ほなトランプでもしとるわ」
こいつは俺以外に友達いないのか?
とか思ったけどちょっと嬉しかった。
「なにニヤついとんねん。きもいわ」
「っせぇ」
と、その時ガラッとドアを
乱暴に開けたのは
担任の福島先生だった。
「おら。掃除しろ!掃除!」
いつも気だるそうな顔で
適当に担任をやっている。
なんで教師になったんだ?
と思うくらいだが
先生いわく教師だと言うだけで
合コンのウケが格段に良くなるらしい。
…医者には負けるが。
「あー…園村ちょっと借りるぞー」
「…はい」
最近唯はよく先生に呼ばれる。
なに話してるのかは知らないけど
唯に聞いても
「スカートの丈注意された」とか
「世間話だ」とかしか教えてくれない。
でももっと違う…なんて言うか…
難しい話をしている気がする。
「おいポンコツ教師。ちゃんと返せよ?」
「なんもしねぇよバカ」
「わー助けてー襲われるわー(棒」
「おい。ノるなよっ」
呆れた顔で先生はツッコんだ。
そして2人は教室から出て行った。
「あれ。なんや唯ちゃん
トランプやれへんのかいな」
本気で残念そうな楸也横目に
俺はちゃっちゃと掃除を進めた。
「せやけど、ほんま最近
よう呼ばれるようなったなぁ」
「確かに、ここんとこ毎日よね」
皆が心配するのも無理ない。
なんで呼ばれているのか
誰も知らないのだから。
ゴミ箱を抱えながらちょっと考えたが
やっぱりなんの事だか全くわからない。
「じゃ、捨ててくるから。」
とは言ったが2人はババ抜きに夢中で
聞いていなかった。
ちょっと寂しかったので
果歩にババのありかを伝えてから
焼却炉まで歩いた。
俺のクラスから焼却炉は結構遠くて
渡り廊下を使わないと行けない。
そんな渡り廊下を渡っていると
福島先生と話す唯の姿が見えた。
俺はつい立ち止りゴミ箱を落とした。
「なんで……」
話している福島先生は
顔こそ笑ってはいるものの
その目からは涙が溢れていた。
一瞬訳がわからなくなったが
ふと目を落とすと
ぶちまけたゴミが散乱していたので
集め直した。
もう一度2人を見たときには
もう話し終えていなくなっていた。
「何…話してたんだ……?」
