すると隣にいた栄兵が、はあ、と溜め息をつく。



『あーあ、私も狙ってたのになあ、朝霞さん』



どうやら今までの会話を聞いていたらしく、
頬杖をついて、彼女はだらしなく日本酒を煽った。



『あはは、おれ、おっぱいデカ過ぎる人怖くて無理なんでごめんなさいーー』



そんな栄兵に水を差したのはあろうことか当の本人朝霞くんで、しかも理由がこれまたひどい。



『はあ!?貧乳よりはいいじゃないの!
だったら宮戸さんが巨乳でもダメだったっていうことでいい?!アタシ、あんな子ブタちゃんに負けたなんて思いたくないんだけど!』



ギャーギャーと文句を言う栄兵。
つーか、貧乳よりはいいってなんだコラ。
全国の貧乳のみなさんと目の前の私に謝れバカヤロウ。



『宮戸さんが巨乳だったら、まあ、それはそれで悪くないかなーー』



『胸の大きさじゃなくてお前は宮戸がいいんだろ……』



朝霞くんの切り返しに失笑する。
本当になんでこいつらさっさとくっつかないんだろう。



そして案の定栄兵も、その勝機の無さと、朝霞の意図するところに気づいたのだろう。



『すっげえむかつくわね、もういいわよ』



そう吐き捨てた後で、「次は塩谷さんでも行くかねー」と最後にまた恐ろしい台詞を残していった。