『ちょ、女の子がそういうこと言わない…っく』



眉をしかめるも、笑いが抑えきれてない先輩。



ふたりして目を見合わせて、くくくっと声を押し殺して笑い転げた。



そんな私たちを、数人の周りの上司たちが興味深げに見る。



『どうした朝霞、宮戸!
面白いことでもあったのかー?』



部長に声をかけられて、私たちはもう一度目を見合わせた。
悪戯っぽく笑い合い、人差し指を唇にあてる。



『内容は18禁なので』



『大きな声では言えません』



経験値も何もない二人が一体何を言っているのか。そう思うとまた笑いが込み上げてくる。



一瞬ぽかんとした部長や周りの上司たちも次の瞬間にはニヤニヤと笑って『教えろよ、上司命令だ!』なんて言い始めて。



朝霞先輩って、こんなノリもできるんだ。



そっと彼の無邪気な横顔を盗み見る。



……ああ、いいな。



ふと、そんな想いが胸をよぎる。
そしてこの気持ちが恋だと確信したのは、帰ってから先輩のことばかり考えている自分に気付いたときだった。