食堂で女豹から宣戦布告を受けたあの日。



確かに私はこう言われたのだ。



『あんまり綺麗な幻想を抱くと、朝霞さんにも失礼よってこと』
『子ブタちゃんは何に恋してるのかしらね?優しくてお綺麗な朝霞さんっていうなら、あたし、貰っちゃうわよ』
『ま、お前がなんで朝霞君を好きなのか、考える良いきっかけなんじゃないか?』



あの日私には確信があったのだ。



なぜみんなそんな事を言うんだろう。
私は綺麗な朝霞先輩だから、好き、なんじゃない。
朝霞先輩だから好きで、それに、綺麗なとこも優しいとこも不器用なとこもみんな好きだって。そんな風に好きな部分が一個一個足されていくんだ、と。



そんな風に信じていたのだ。



でもそれは、結局、先輩の良い所だけを見ていたからだ。
優しくて私のことを少しだけ特別扱いしてくれる、そんな先輩が好きだったんなら。
つまりそれは結局、先輩の上辺しか見ていなかったんじゃないか。



先輩がいま、思ってもみなかった一面を私に見せてーー



私はいま、確かに動揺している。