「何言ってんのお前?お前俺に何も言ってなかったじゃん。お前は俺の友達じゃねぇの!?」


徹平が亮平の胸ぐらをつかんでいる。


あたしにはその光景が滲んで見える。


どうしてあたしは泣いているのだろう。


何も悲しくなんたないのに。






そうか。


利麻がいつも悲しい顔をしていたのが


あたしのせいだったからだ。




利麻の大切な人があたしなんかを好きだからだ。


だから、あたしは泣いているんだ。





利麻…


貴方はまた一人で泣いてるの?…



「お前が、徹平が親友だから今まで黙ってたんだろ!?でも徹平がさくらを大事にしてないから、だから俺が大事にする!」


「さくらの事なんにも知らねーくせに。お前なんかがさくらを幸せにできるわけがねぇんだよ!さくらは俺だけのものだよ!」


もう、嫌だ






嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


もう聞きたくない…


気付いたらあたしは息を切らしながら走っていた。