「繰明っ?」
「由宇ちゃん?」
小学校が一緒だった女の子・高谷 由宇(たかや ゆう)ちゃんが声をかけてくれた。
あたしのかよってた山岡中からの古語川高校に入学する人は誰一人居なかった。
…いや、居たんだけど……落ちた、のが合ってるかも…。
「きゃー!繰明だ!3年振りだね!」
「うん!これから一緒だね!」
あたしは由宇ちゃんと手を繋いで、自分のクラスを観に行く。
「…んー、由宇ちゃん!見えたっ?」
あたしは一生懸命背伸びをしている…。
……が、見えない。
全くもってみえてこない!
「うん…あ!あたしαクラスだ!」
「あ、あたしのはっ!?」
あたしは背の大きな由宇ちゃんに頼る。
「えっと…繰明は……あ、一緒だよ!一緒!」
嬉しそうに抱きしめてくる由宇ちゃん。
「うわぁ!ぐ、ぐるじぃ」
強すぎだよ…!
「あっ!ごめんね、ついつい」
可愛く照れ笑いをする由宇ちゃん。
あたしと由宇ちゃんと手を繋いで一緒にαクラスに向う。
男子が振り返っても気にしなーい!
コレがあたしのモットーです!
だって、そんなのしてたらきりないもん。
高校生活は満喫するってきめたんだから…!
………そして、王子様にお礼をもう一回言うんだから!
あたしは自分の胸元で小さくガッツポーズ。
「…繰明、どうした?」
心配そうにあたしを見つめる由宇ちゃん。
「な、なんでもないよっ」