「ホラ…降りろ」



あたしはいつの間にか寝てしまっていた。



「早く、しろ」



何で…



ココにいるの?



「……やだ」



何であたしの家が目の前にあるの?!?!



「嫌だっ!!!!!!!!!」



絶対降りない



降りたくも帰りたくもない。



「何言ってんだよ…」



だから──



コイツには分からないんだ。



あたしがどれだけ苦しい思いをしてきたか



どれだけ死にたいと思ったか



コイツにはあたしの胸の思いなんて



分かりやしない。



「分かった。じゃぁ俺ん家行くぞ」



先生はフーっと息を吐き



車を発進させた。



…は?



意味分かんないんだけど



「何でアンタん家なのよっ!!!」



あたしがデカイ声で言うと



「あ?お前、行くとこねぇんだろうが。だったら俺ん家しかねぇじゃねぇか」



あたしがしたように睨んできた。



「降ろせ!!!何でアンタん家に行かなきゃならないのよ!!!っホテルとか探すから降ろして!!!」



あたしは暴れた。



冗談じゃない。



とにかく無理。



「はぁ…。お前金は?」



はっ?



「…これだけ」



あたしは財布の中身を見せた。



「プハハハハｯｯ、それだけで泊まれると思ってんのかよ」



人を馬鹿にするように笑って。



でも、先生の言う通りだ。



あたしの財布の中は



200円しか入ってなかったから。



「これじゃぁ缶コーヒー1個しか買えねぇぞ?」



そんなにおかしかったのか



目に涙を浮かべて言った先生。



…うるさいなぁ



「はい、つべこべ言わずに俺んとこ来い」



先生は真顔になり言った。



あたしはというと──



コクリと頷いた。