「さっ…帰るか」




先生の言葉で、我に帰った。




先生…あのね?




本当は海なんて来たくなかったの。



あの人が………………………。




「優…?どうしたんだよ」




ふと、あの人の顔が脳裏に蘇った。



「何もない。」



そう言ってあたしは、




言いたいことを言わずに




スタスタ歩いた。





「待てよ。優」





「…何」



振り返ると、真剣な顔つきの先生がいた。



「…悩んでる事あったら言えよ」




フッと笑った先生。



「…言わないから。」


あたしは呟き、車に乗った。