「ここだ…」



あたしは新1年生のようにガチガチに



なりながら学校の門をくぐった。



昨日先生は



『山口と佐藤に言ってねぇから。お前も驚かせたいだろ?』



何が『言ってねぇから。』だ!!!



絶対忘れてたくせに。



でも、正直先生には感謝している。



2人とも待っているなんて



言ってくれなかったら



あたしは絶対学校には行かなかった。



久しぶりの学校に入り



下駄箱でスリッパに履き替え、



2年の階段を登っていく。



ふぅ。



息をつき、扉を開けた瞬間



みんなの視線があたしに注がれた。



っ痛いな…



やっぱあたしが来る場所では



なかったんだ。



あたしなんて誰も要らないだろうし。



帰って、寝よう。



そう考えていると



「優…?」



聞き覚えのある声がよく響いた。



「理…沙、歩美…」



そこには涙を溜めてあたしの事を見ている



理沙と歩美の姿があった。



「馬鹿優!!!」



「元気そうでよかった」



ギュューッと抱きしめてくれた。



「ごめん…ホントにごめん」



マイペースだけどしっかり者で



姉御肌の理沙



おっとりしててあたしが元気ない時は



必ず相談を聞いてくれた歩美。



2人には何度助けられたことだろう。



あたしを待っていてくれた。



あたしの事を必要としてくれる。



2人には感謝でいっぱいだ。



「ありがとう」



あたしはめいいっぱい笑顔で



そう言った。