SEEKLETLOVE

「お邪魔しました」



あたしは、お風呂から上がった後



入る前の服に着替え家を出ようとした。



「おっ…おい!!!どこ行くんだよ!!!」



がしかし─先生に見つかってしまった。



「何よ。アンタには関係ない」



ガチッと掴まれた手を払いのけようと



したけど、当然無理で─。



「いや、関係ある。ちょっとこっち来い」



先生はあたしを無理矢理部屋に



連れ戻した。



沈黙が続いた。



「なんで、出ていこうとしたんだよ」



先に沈黙を破ったのは先生。



「…………」



何で大人は



こうやって傷口を抉るんだろう。



関係ない事に首を突っ込んで、



自分が危ない状況に出くわしたら



咄嗟に逃げて知らないフリをして。



そんな事するくらいなら、



突っ込まなくていいのに。



「なぁ、黙ってちゃぁ分かんねぇよ。」



何、イライラしてんのよ。



「優…俺じゃぁ力になんねぇか?」



苦しそうな目であたしを見つめる先生。



あの人もあたしが困っているとき



こうやって見つめて…話を聞いてくれた。



「何でアンタ…似てるのよ。」



「…え?」



「何でっ!!!!!!そっくりなのよ!!!」



あたしは気持ちのコントロールが



出来なくなって全部吐き出した。



「アンタとあたしが大好きだった人が似てるの!!!アンタと…いるとっ大好きだった人を思い出すのよ!!!」



こんなの八つ当たりだって、



自分が悪いのに先生は悪くないのに



分かってる。



ホラ…困ったような顔してあたしを



見る先生がいるんだ。



「──優っっ」



突然目の前が真っ暗になって



先生の腕がすぐ近くにあって──



抱きしめられているという事に



気が付くのは大分時間がかかった。



「辛かっただろ?苦しかったな…ごめんな。俺、何にもお前の事分かってなかった。分かってたつもりだけどお前が死にそうなくらい暗闇にいたなんて考えてもなかった。ごめんな…優…」



先生は



何度も何度も



『ごめんな』



そう言ってくれた。



あたしは思い切り先生の腕の中で泣いた。