「どうしたの?雪」

あの男に廊下で会って美術室に帰って来た時の第一声がそれだった
声をかけてくれたのは、里恵だった

「顔色悪いよ?」

私は確かにその時は震えていた

「あ!もしかしてー雪ちゃんもレポート提出してなくて、先生に怒られてたとか⁉︎」

「先輩じゃないんですから…」

「うっ!里恵ちゃん、その哀れみの目をやめなさい…」

陽気な美々先輩を里恵が容赦なく突っ込む。いつもの日常だ。

「でも本当に何かあったの?雪ちゃん」

美々先輩に問われる

「…いえ、何でもないです」

私は答える

「いやいや雪、あんたがこんなに取り乱すなんて久しぶりだよ。なんかあったでしょ?」

里恵に問われる

「…」


沈黙


「…まあ、雪が話したくないことならいいんだけどさ…うん、私に手伝える事があったら、言って?」

里恵は笑顔で話してくれた

「そーだよ!私と里恵ちゃんもいるんだからさ!どんどん頼ってくれればいいよー!」

「え、先輩に頼るんですか」

「里恵ちゃん私に対しての態度酷くないかな⁉︎」


そんなこんなで、私の夏休みは過ぎて行った