鈴谷先生は理科室の掃除をしようとした。
しかし、理科室は広い為、一人ではできなかったという。
そこで生徒を呼ぶ事にした。
しかし絶大な人気の為、ほとんどの女子生徒が集まってきてしまい、いつの間にか掃除ではなく質問コーナーになってしまったという
そこで私がドアを蹴って一喝する
皆が逃げる。
鈴谷先生、質問コーナーを終わらせたのはありがたいが生徒が私しかもういない
と、いうわけで私が掃除を手伝うことになった
ちなみに凄く、無言。
…
やばいなあ…凄くこの空気嫌なんだけど…
ただひたすら、ビーカーを二人で拭く。
ビーカーを拭く音しか響かない
これは何か話した方がいいのか?
でも何て話しかければいいんだろ
うーむ…
「あの」
あっちから話しかけられた
「は、はい」
とっさに返事をした
「お名前、教えてくれますか?」
優しい声なのに、目が暗い
何もかも絶望しきった目。
「七瀬 雪です」
二人きりの理科室に私の声がポツリと響く
なんだこれ、妙に緊張する
「…よろしくお願いしま…」
よろしくお願いします、と言おうとした
しかし先生の顔を見た瞬間、私の声は止まった
先生は、驚愕していた
驚愕、つまり、驚く
濁った目を大きく開いて驚いていた
さすがの私もびっくりしてしまった
そんなに私の名前は驚かれるのか?
いやいや、普通の名前だろう
「七瀬…さん?」
なんか先生がどんどん近くなっていく
いやいやどうした先生
顔近い顔近い
「…七瀬ですよ?それがどうかしたんですか?」
私は問いかける
先生がじりじりと壁に私を追い詰める
あー…これが世に言う壁ドンってやつ?
いや、違うだろ、なんか怖いよ
目をじっと見ると闇に引き込まれそうな気がしてたまらない
怖い。
「…」
壁に足が当たる
逃げられなくなってしまった

