こいこころ

映画館に戻ると、チケットを購入したときよりかは人が増えていた。

「映画館といったら、ポップコーン食べたいよなあ」

「それ分かる。買おっか」

メニューを眺めていると、塩味とキャラメル味二種類が食べられる、ダブルセットなるものを見つけた。
ドリンクも二人分付いているのでいいかもしれない。

「ハル、これとかどうかな。割り勘したら500円で済むよ」

「ダブルセット・・・いいね。陽子は飲み物何がいい?」

「私は・・・烏龍茶」

「うわ渋いー。俺サイダーにしよっと」

いざ売店に並ぼうとした私をハルが制した。

「陽子は先にトイレとか済ませておいでよ。俺が買っとくからさ」

「え、でも・・・」

「いいからいいから。いってこい」

ハルに背中を押されて、私はお手洗いに足を運んだ。
そうか、購入後に交互にお手洗いに行っていては効率悪くなるから、ハルは先に行くように言ったのか。
なるほど気が利く男である。

やはり今までも女性経験があるんだろう。
じゃないときっとこんなことは考えてやくれないだろう。

かくいう私も経験がないので、何とも言えないわけだが。


本当に、王子様みたいな人だ。キラキラしてて、気が利いて、とってもかっこいい。
また自分の世界に入りそうになって、 私は慌ててハルの待つ場所へ戻った。