こいこころ

ショッピングモールにつくと、入口のすぐそばのゲームセンターが目に入った。
ちょっと期待してハルに尋ねてみる。

「ねーハル、プリクラ撮ろうよ」

「えっ。俺、プリクラ撮ったことない・・・」

「うそお!」

意外である。
クラスの男子が部活仲間と一緒にプリクラを撮っていたのを見たことがあったので、男子でもプリクラは普通に入るものだと思い込んでいたのだ。
初めてのプリクラが女子と二人きりはキツいかもしれない。
私はおずおずと聞いた。

「どうする、やめとこうか・・・?」

「いや、してみたい。ただ、どの機械がどうとかは分からないから、陽子に任せるけどいいか」

ちょっと弱って眉を下げ笑うハルの笑顔に、きゅんとときめいた。

「も、ちろん。じゃあこれにしよう!」

半ば浮かれつつハルの手を引いて、ひとつのプリ機に入った。
落書きまで終えると、ふたり揃って大きく息を吐いた。

「はー・・・すっげえ緊張した」

「はは、初プリだったもんねえ」

「それもある」

それも、って。
どきりとした。
それの他にどんな意味があるの。
ハルは普段より近い距離感を、どう感じていたのだろうか。
声を掛けようと思ったとき、印刷を終えたプリが取り出し口からしゅん、と出てきた。