駅から歩いて5分ほどの映画館には、まだ人はまばらだった。
今日の上映作品の一覧を眺めて、尋ねてみる。

「ねえ、ハルは観たい映画ある?」

「うーん・・・そうだなあ」

少し考えて、ハルはこれかこれ、と指さした。
一つは洋画のアクションもの、もう一つは邦画でアニメーション映画だった。どちらも今季の人気映画である。

「陽子はどう?」

私はアクションものの血しぶきなどが苦手なので、邦画のほうがいいと言った。
ハルもそれに応じてくれた。
チケットを購入すると、上映まであと1時間もあることが分かった。

「1時間か・・・どうしよう」

「ん・・・じゃあさ、この近くのショッピングモールで時間潰さない?ハルあんまりこの辺来た事ないんでしょ」

提案すると、ハルはぱあっと顔を輝かせた。

「いいね。行きたいなあ!」

じゃあ行こうか、そう言って私は彼を案内した。