こいこころ

先日、私は勇気を出してハルを映画に誘った。

二つ返事でOKしてくれたときの、あの喜びといったら!
今すぐ大声でやったー!と叫びたかった。

しかしそんなことをしてはこの心音がバレてしまう。
私は平静を装って、ごく普通に当日の予定を取り決め、そして手を振った。

そして今に至る。
私はチラチラと時計を見ながら、自分の装いが変じゃないか考えた。

おしゃれなピンクの刺繍がはいったシャツにスキニージーンズ、白のサンダルのコーディネート。
本当はシルバーのハートのネックレスも着けていくつもりだったけれど、緊張のせいか忘れてきてしまった。
少し物足りないけれど、変な格好はしていない。・・・つもりだ。

嫌がられないかな。

可愛いとか、言ってもらえたらいいな。

普段とは真逆の乙女な思考回路に入りそうになって、慌てて首を左右に振る。
ちょうど、駅のホームに電車が入るアナウンスが流れた。