こいこころ

ふたりのカップが空になった頃、店を出ることにした。
そしてまたしても、ハルは私が財布を開くことを拒んだ。
ちょっと抵抗したけれど、決心が硬いようなので、私はちょっといたたまれなくなりつつも、お礼を言った。
申し訳なさもあるけれど、やはり女性扱いされたことに嬉しさがにじんだ。

それから、二人で思う存分ショッピングモールを回った。
洋服屋をひやかしたり、雑貨屋見て回ったり、アイスクリームを買って食べたりした。

とあるアクセサリーショップをひやかしていた時のことだ。
私はペアのネックレスを見ながら、妄想にふけっていた。
ハルとお揃いでこれを着けて、カップルみたいに手を繋いで歩いたら、どうなるんだろう。
どんな風なんだろう。

「よーこ?」

「っひゃああ!」

突然声をかけられて、私は飛び上がった。
それを見てけらけら笑うハル。
それに頬を膨らます私。

まるで恋人たちのよう。

本当にそうなればいいと思った。
どうしてそうなれないのかと、呪った。