そして、ついにその日

龍太の出発の日


約束の時間に駅に行くと


「裕....」

荷物を抱えてベンチに座る龍太。

なにも言わず隣に座る


あーだめだ。

涙が出る。

髪で顔を隠してみられないようにする


だけど、膝の上にポタポタ涙が落ちる




「裕」

名前を呼ばれて龍太が私の手を

痛いくらい強く握る


「好きだ。」


その言葉を聞いた瞬間

涙が止まった


「今、なんて....」


龍太の方を見るとまっすぐあの瞳で

私を見つめる

「あの日土手で会う前から好きだった。
いつか言いたいって思ってたけど、
いましかな言って思って...」



「あ、わた、し、も....」

驚きで喉に何かが詰まってうまく言葉が出ない


同時に涙もポロポロ出てくる


「.....っ」


その瞬間龍太に腕を引かれ

龍太の腕の中に私はすっぽり収まった


「うっうっ....ぁ」

嬉しくて嬉しくて龍太の腕の中で
泣いていると


「おーはいはい。俺も泣きたいくらい
嬉しいから、もー泣くな泣くな。」


そういい私の頭をポンポンとする


「うっだ、だってぇ....
うれ、うれしくてっ....」


泣きながら喋るもんだから

しゃくりあげている

「ほら、泣き止めって
もーしかたねぇ。」


そう言うと龍太は私から離れると


私の頬に触れ親指の腹で涙をすくうと


龍太の顔が近づいてきて

唇が重なった

優しい全てを優しく包み込むような

優しいキス