17~電車から始まる恋~

 着替えてご飯を済ませると、荷物を持ってお父さんの車に乗り込んだ。他愛のない話をしながら駅に着くと、二人で窓口へ向かった。



「定期の落とし物は届いてないですか?娘が昨日失くしたらしいんだが。」

「ちょっとお待ち下さいね…」



駅員さんはそう言って、一度奥の方へ引っ込んだ。きっと大量にある落とし物の中から探してくれているんだろう。それを思うととても申し訳なかった。

暫くして戻ってきた駅員さんは、「ごめんなさい、届いてないですねぇ…」と言って頭を下げた。親切なことに、「今日も電車に乗られますよね?その内定期が落とし物に上がる可能性もありますので、紛失の旨を車掌に伝えて頂ければ、今日は切符を買わなくても大丈夫ですから。」と言ってくれた。

何て良い人なんだ……私は涙が出そうになったけど、とりあえずお礼を言ってその場を離れた。電車に乗る時間が近付いてきたのだ。



「陽富、今日も帰りはお父さんが迎えに来るから、その時もう一回窓口で聞いてみよう。」

「うん、そうする……行ってきます…」



お父さんに手を振って電車に乗る。車掌さんに定期を失くしたことを伝えた私は、壁にもたれて深い溜め息をついた。