空渡さんと私がお付き合いを始めて、かれこれ数ヶ月。私は大学2年生になり、専門的な授業が増えて忙しくなった。空渡さんは空渡さんで、相変わらずお仕事が大変そうだ。二人が会う時間は激減した。

だけど、毎日のメールのやり取りだけは欠かさず続けている。ただの電子の文字ではあるけれど、これを失くしてしまえば私達を繋ぐものは何もなくなってしまうだろう。



「みんなは『メール続けてるならほったらかしじゃないよ』って言ってたけど、不安だなぁ…」



 そろそろちゃんと会いたい。電車でたまに会うくらいでは、どうしても足りないと思ってしまう。空渡さんから重要なメールが来たのは、そんな時だった。



「……えーっ!?」



 受信した本文に目を通した私はびっくり仰天。だって、『陽富さんのことを少し前に両親に話したんだけど』なんて書いてあったんだから。読み進めていく内に、私の心は段々と冷静になっていった。

空渡さんは、まだ19歳の私のことを“二十歳”だと話したらしい。大人と子供の境界線という微妙なラインだからこそ、そう紹介する他なかったのかも知れない。そして空渡さんの母親が下した決断は、○でも×でもない“△”だったそうだ。