BGMがテンポの早い曲からゆったりとしたラブソングに変わり、かち合った視線が空間温度を3度くらい上昇させたように感じた。

不意に近付いてくる顔にゆっくりと目を閉じる。暗闇の向こうには見慣れた顔があるのだろう。

まどろみのような時間が流れる。この長さを、人は“永遠”と呼ぶのだろうと思った。



「……じゃあ、またね。」

「あ、はい……送ってくれてありがとうございました!お休みなさい!!」



気恥ずかしくて、逃げるように車から降りた。振り返ってもう一度、その顔を瞳に収める。予想通り、あなたは笑顔で手を振っている。私も同じ仕草を彼に向けた。



「──ただいまー!」

「お姉ちゃんお帰り!デート楽しかった?」

「シーッ!お母さん達に聞こえちゃうよ!!」



 玄関で出迎えてくれた陽留に注意すると、「お母さんはおばあちゃん達の家で、お父さんはネットオークションに夢中だよ」という余裕の言葉が返ってきた。

ホッと息をついて部屋に入る。陽留も私の後に続いて、部屋に入ってきた。きっとこれから、陽留の質問攻めに合うのだろう。まぁ……今日くらいは付き合ってやろう、かな。