目の前に料理が揃い、私達は再び向き合う。お互いのペースで食事を楽しんでしばらく経った頃、私は鞄の中から例の封筒を取り出す。空渡さんは、不思議そうに私の仕草を見つめている。



「あの……実は空渡さんに聞いて欲しいことがあって。手紙に書いてきたので読んでくれませんか?」



空渡さんは頷くと、私から受け取った封筒を開封して読み始めた。周りの雑音は一切耳に入らず、空渡さんの目が文字を追う様をジッと見つめる時間が過ぎていく。

やがて、その顔がスッと上がる。視線がしっかりと交わり、私は空渡さんからの言葉を待った。



「……僕も、陽富さんと同じ気持ちです。僕の言葉が足らなかったせいで不安な気持ちにさせてごめんね。
遅くなったけど、今日から僕の彼女になってくれますか?」

「……はい!喜んで!!」



 今やっと、二人の気持ちが通い始めた。今日からは私達の時間が動き出すんだ。何だか心があったかいな。

ふと空渡さんを見つめる。ニコリ、と微笑まれた。そっと笑顔を返すと、優しい空気が私達を包み込む。私、やっと空渡さんの彼女になれたんだ。満足感の中、私はもう一度鞄に手を入れる。