私の正直な気持ちを打ち明けたいし、空渡さんの生の言葉で彼の本音が知りたい。口に出して言う言葉は、文字の上だけのものより何倍も影響力があるんだってことに気付いて欲しいんだ。

あの告白と取れる文章の最後には、『(無理しなくて良いですよ)』という妙に遠慮染みたというか、気弱な文が添えられていた。何が彼をそうさせているのかは分からない。でも、もっと自信を持って欲しいというのも事実だ。



 高校時代に恋していた、今でも良くしてもらっている達也君に空渡さんのことを話したら、最近こう言われた。



「それって、端から見たら親子に見えるんじゃないの?」



……水を張ったお風呂に突然頭を突っ込まれたような気分だった。もしくは背後から通り魔にあった気分か。相当な重みを含んだ言葉が、私の心にのしかかってきた。

“親子に見えるかも”なんて、言われたくなかった。自分自身も気付かない心の末端で、私が恐れていたことなのかも知れない。

その時は咄嗟に「うるさい!」というようなことを言って強気に返したけど、そうはっきり言われると改めてショックで。彼が高校時代からの彼女と幸せに過ごしているんだと思うと、嫌でも醜い感情が繁殖してきた。