「お父さんにバレたら大変だから、ご飯の時とか口滑らせないように気を付けるね。」

「……やっぱ陽留もそう思う?これじゃあ陽留に彼氏が出来た時とか危ないよね…」



 今まで陽留は、お父さん達にバレないようにこっそり付き合っていたらしい。前に付き合っていた人と家の近くで話しているのを見られてから、監視の目が厳しくなった気がすると言っていた。

これはつまり……私も陽留も注意しなきゃいけない、ってことだ。



「……お父さん、何でこんなに厳しいんだろうね。」

「さぁ……何か昭和か大正時代の人みたいだね。あ、お父さん昭和生まれか。」

「この家で平成生まれは陽留だけだってば。」



こんな会話をしていると、「ご飯よー!!」という声が耳に入った。私達は「はーい!!」と返事をして、階下に向かって駆け下りて行った。



 食卓にはお父さんがデンッと構えていて、思わずビクビクしてしまった。私と陽留は密かに目を合わせると、何事もなかったかのように席に着いた。

その内お母さんが料理のお皿を運んできてくれて、家族みんなでテーブルを囲った。



「……いただきます。」

私達は手を合わせて、ゆっくりと食事を始めた。