「──ところで陽富ちゃん、さっき凄いニヤけてたけどどうしたの?空渡さん、そんなに嬉しいことでも書いてくれた?」

 恵梨乃ちゃんがクスリと笑って尋ねる。他の二人も興味津々で私をジッと見つめている。一呼吸置いて、口を開いた。



「あ、あのね……24日に、デートすることになったの…」



しばしの沈黙。その後は正午を伝えるサイレンのように、三人はブワッと盛り上がった。



「嘘ーっ!?やったじゃん!!」

「凄い凄い!良かったね陽富ちゃん!!」

「デートのこと、詳しく聞かせてねー!ウチらも楽しみだ!!」



三人はいつも自分のことのように喜んでくれるから、それがとても嬉しかった。さっき空渡さんにメールを返しておいたから、あとは待ち合わせ場所と時間を決めればOK。

まだ先のことだと分かっていながら、私の胸は躍っていた。凄く楽しみで、その日はなかなか寝付けなかったくらいだ。冬休みが近付くにつれて、私は日に日に嬉しさを募らせていった。



そして──遂にやってきた12月24日。お気に入りの服を着て、丁寧にお化粧をする。鏡の前で気合いを入れてから、電車で目的地へ向かう。大きな駅の時計台で、私達は待ち合わせた。