あれからしばらくが経った。空渡さんとは相変わらずメールを続けていて、街はイルミネーションが輝く季節となっていた。

私はメールの返信文を入力しながら、ふとストラップに目をやる。一つ増えた桃のマスコットは、空渡さんからのお土産。先日社員の皆さんと旅行してきたんだそうだ。



「……やっぱニヤけちゃうなぁ…」



友達にも「陽富ちゃん、顔ニヤけてるよ」と散々言われたけど、どうやら私は顔に出てしまうタチらしい。とても厄介だ。

……でも、直せないものは仕方ない。喜びを表情に出さない訓練なんてあったら、絶対に放棄するんだろうな。



 もうすぐクリスマスだ。空渡さん、クリスマスもお仕事なのかな……恋する乙女としては、やっぱり何処かに遊びに行きたいわけで。ダメ元で聞いてみようかなと思って、メールの最後にこんな文章を付け足した。



『空渡さんはクリスマスとイブもお仕事ですか?もし良かったら、当日じゃなくても良いので一緒にお食事でもしたいです。』



……これって、自分からデートに誘ってるんだよね?そう考えたら妙に恥ずかしくなって、閉じた携帯を思いきり枕に投げつけてしまった。