何が何だか分からない内に、気付いたら自分の部屋に居た。慌てて鞄を漁ると、中からは白い紙が出てきた。

さっきのは……やっぱり夢じゃなかったんだ。まじまじと、それを見つめた。



「空渡さん、っていうんだ…」



 ご丁寧に読み仮名までふってくれていて、几帳面な人なのかなと思った。真面目そうな印象だったから、納得。

今夜電話してみよう。いつ仕事が終わるのかは分からないけど……連絡がつかなかったら留守電にメッセージでも入れとこうかな。

そう思った私は、早めにご飯とお風呂を済ませて、電話をかけることにした。



……なかなか発信ボタンが押せない。ダイヤルするまでは良かったけど、最後の一作業が滞っている。

頑張れ私!!女は度胸よ!!

自分を奮い立たせると、潔くボタンを押した。



受話器から流れる呼び出し音。空気が酷く張りつめている。この時間はとても心臓に悪い。

しばらく待ったけど、まだ勤務中なのか、高天さんは電話に出なかった。メッセージを入れておこうかと思ったけど、私は通話終了ボタンを押してしまった。



……大きな大きな溜め息が出た。留守電のメッセージのこと、またみんなに相談しようっと。