11月も半ばになった頃。すっかり涼しくなった街を見ていると、これから来る冬を想像してしまう。

今年も寒いのかなぁ……そう思いながら電車に乗ると、思いがけなく運転席からこちらを見ている人と目が合った。



「……おっ、おはようございます!久し振りですね!!」

「おはようございます。朝早くから学校大変ですね。」



高天さんもお仕事お疲れ様です、と言うと、ニッコリと笑顔を返してくれた。朝から会えるなんて、今日はツイてる!そう思って、私は何か話すことはないかと探し始めた。

しばらく頭の中で格闘して、やっと一つだけ話題を見つけた。



「あ、あの!そういえば電車の時間変わったんですよね?私、まだ新しい時刻表手に入れてなくて……駅に行けばありますよね?」

「あ、はい。駅で手に入りますけど…」



高天さんはそう言って、一度私に背中を向けると、鞄の中をガサガサとやる。そして、一枚の紙を取り出した。



「良かったら、どうぞ。」

差し出されたそれは、改訂された時刻表の紙。私は嬉しくなって、すぐに両手を伸ばした。



「あ、ありがとうございます!」

「いえいえ。」



──それから間もなく、発車の時間になった。